『真夜中の歌は、うたうための歌ではない。どこまでも聴くための歌だ。(中略)歌はただ歌であるというだけでなく、歌がくれる「何か」なのだ。その「何か」を聴きたくて真夜中に歌を聴く。いつでもどこででも聴ける歌というのとは違う。真夜中に聴いてきたのは、むしろ世にあまり知られない歌、知られなかった歌だった。』- 長田 弘
“Angel from Montgomery”はジョン・プラインの記念すべきファーストアルバムに収められた代表曲のひとつ。2000年にセルフカバーされたこのアルバムを真夜中に聴いていると、長田の一文が思い出される。ジョン・プラインに対して的確な評論をしたのも長田 弘だった。
新型コロナウィルスによってジョン・プラインが亡くなってからおよそ1ヶ月。ブルース・スプリングスティーンをはじめ、エルヴィス・コステロやボニー・レイット、ジェフ・トゥイーディ、そしてサラ・ジャローズやブランディ・カーライルなど若手ミュージシャンまで、本当に大勢の音楽家たちから敬愛されているジョン・プラインだが、日本ではほとんど知られていない。